おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は最近感じることを文章にしてみます。
«目次»
1、NFTが売れなくなっている
2、NFTから新しさが消えた
3、新しいから価値がある?
4、新しさがなくなったからNFTの取引が減ったのではないか
5、現実の価値と紐づいたNFT市場が急速に成長する
NFTが売れなくなっている
今に始まった話ではありませんが、NFTが売れなくなっています。NFT市場における取引量の低下やアクティブユーザーの低下も客観的なデータとして出ています。
加えて、肌感としても新しいプロジェクトが即完してお祭り騒ぎになっている状態は久しく見ていません。
これはNFTバブルが弾け、投機目的で参入していた人の大部分がいなくなったことも理由の1つです。これはNFTが社会に普及していく一つの通過点なのだとも言われていますし、僕もそう思います。
過剰な期待からバブルが生まれ、弾け、そこで多くの人が去るも、技術がまやかしだったわけではないので、数年後に一気にマスに普及するタイミングが現れます。
AIも何度もブームがあり、でも結局そこまで使えないよねとなりました。一部の大企業のみが利用していたツールであり、個人がAIを活用するのはイメージできていませんでした。そこに個人が簡単に使えて圧倒的に便利なツールが登場し、一気にマスアダプションを果たしました。
NFTから新しさが消えた
加えて、僕が最近感じることは「NFTから新しさが消えて、既視感が生まれている」ことです。
OpenSeaの世界トレンドランキングをほぼ毎日くらい見て軽くリサーチしているのですが、割と同じようなプロジェクトが多いです。PFP系、IP作ります系、GameFi系、メタバース系、フリーミント系、etc..
NFTにみんなが熱狂していた時は、全てが新しいコンセプト、プロジェクトであり、次から次へと”新しい”が生まれていました。生まれているように見えました。
ただ、新しい事例なんてそうそう生まれるわけもなく、いつしかNFTプロジェクトはカテゴライズしたり、○○みたいなプロジェクトねと言い換えができるようになりました。
これは決して悪いことではなく、全ての業界は同じ道を辿るはずです。成功事例が生まれたわけなので、その成功事例を参考に自社プロジェクトを作るのは当たり前の話です。むしろそれをリサーチせずに自分の我だけを出したプロジェクトはNFT市場のニーズに合致しないことが多いです。
そうやって市場に競争が生まれ、切磋琢磨して徐々に大きくなっていくのですが、NFT業界は既存市場と決定的に違う点が1つありました。
それは「”新しさ”がNFTの価値の根拠の中で大きな1つに存在していた」点です。
新しいから価値がある?
たとえば、ラーメン業界で最初につけ麺を生み出した人は先駆者としての価値はあるはずです。でも、その後の競争に晒されて、結局は美味しいつけ麺屋さんが残ります。
それは別につけ麺屋さんの価値の根拠に新しさはさほどなく、美味しいか否かにあるからです。
一方で、NFTの価値は極めて不確かです。世界初のフルオンチェーンNFTは、その後にフルオンチェーンNFTが生まれて、そっちの方がクリエイティブも利用技術のレベルが高くても、おそらく先駆者の方が人気であり続けます。
なぜなら、NFTの価値を判断する根拠が定まっていないからです。NFTは基本的に未来に値上がりする根拠と現状の結果を元に価値づけされます。
ファウンダーの経歴、フォロワー数、新しさによって未来の値上がりが期待でき、すでに売れているNFTであればこのNFTに価値があるのだと認識します。
何が言いたいのかというと、客観的な指標が多いんですよね。つけ麺の美味しい美味しくないとか、アーティストの音楽が素敵か素敵じゃないとか、YouTubeの動画が面白い面白くないとか、それらは全て自己関係できる主観的な指標で決められます。
NFTの価値を自己判断できることは難しいです。できるのは唯一、”クリエイティブが好き”という点くらいです。ただ、それはもはやアートの世界です。
新しさがなくなったからNFTの取引が減ったのではないか
ここまでを整理します。
僕はNFTの取引量が激減したのは、失敗するPJが生まれたり、別のブーム(AIなど)が生まれたことで投機勢を中心に大部分がいなくなったからもありますが、”NFTに新しさがなくなったから”も大きな理由として存在するのではないかと考えています。
多分、いなくなった投機勢以外にも、まだNFTに未来を感じまくっているNFT業界の人のNFT取引量も減少しているはずです。(僕も最近あまり買わなくなりました)
NFTは一般的な市場と同じく「成功事例の誕生→成功事例の模倣」という道を辿ってますが、NFTは主観ではなく客観で価値判断が行われることが多いので、模倣のNFTが売れなくなるという事態が発生しています。
後は単純に、NFTは生活に必要不可欠なものではないので、勉強のために購入していた人たちが一巡してしまった、もあります。
自分自身の肌感と、周りの人の声を見ていても、なんとなくこの仮説は割と当たっているのではないかと感じています。
そう考えると、実はNFT業界は他の業界のバブルが弾けるのと少し違う道を辿っている気もします。通常、バブルは全く別の業界の人たちが儲かりそうで入ってきて、儲からなくなったら辞める。ただ、バブル前もバブル中もバブル後も業界の人たちは変わらずにコミットし続けます。
ですが、バブル後にNFT業界の人たちの取引量も下がってしまうとなると、業界の成長スピードは果たしてどうなるのか?という疑問が浮かびます。
現実の価値と紐づいたNFT市場が急速に成長する
これらを考えると、僕は主観的にNFTの取引が判断できる「現実世界の価値と紐づいたNFT市場が急速に成長する」と考えています。
先日のRTFKTとNikeの事例もそうです。Nikeのスニーカーが貰えるなら、たとえそのNFTを他の誰も買わなかったとしても、自分が納得していれば別にいいじゃないですか。価値の評価基準が主観に移行します。
結局、人は今の自分の延長線上でしか価値判断ができないので、まずは現実世界のものと紐づいた形でNFTを設計してあげることで、少しずつNFTの学習を始めていくのだと思います。
チケットNFT、フィジカルグッズと交換できるNFT、Not A Hotelのような宿泊券NFT、オンラインサロンへの参加NFT、ソフトウェアを利用するためのNFT、などなど、既存の商品の販売方法がNFTに変化していきます。
リアル店舗からEC販売になったように、EC販売からNFT販売になります。
多分、この辺りがこの先急激に拡大していくんじゃないかな?と思います。EC販売よりもNFT販売であるが故のメリットや利便性を打ち出していくと、少しずつNFTが浸透していき、デジタルの世界だけでのNFTの価値判断を主観的にできるようになっていけば、またPFP系のNFTやデジタルグッズのNFTにも価値が生まれていきます。
なので僕も最近はweb3相談を受ける時も実際の商品をNFTで販売することから始めましょうという感じで話すことが多いです。まだ市場はデジタルを受け入れていません。
書きながらでしたが、最近自分の中で感じていたことを言語化できた気がします!
以上、面白いと思った方はぜひいいねやコメント、SNSでの拡散にご協力いただけると嬉しいです!
★お知らせ
週2本「より深いリサーチや考察」を更新する”有料マガジン”の「”60日間”無料クーポン」を発行しました。ご興味ある方はぜひこの機会にどうぞ!(解約し忘れ防止のために7日前にお知らせメールが届きます)
※このボタン以外から購入すると”7日間”の無料トライアルになりますので、購読を検討されている方はこちらからご購読いただいた方がお得となります。
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
■運営者
mitsui @web3リサーチャー
web3に関する情報(プロジェクト・ニュース・単語の解説、プロジェクトオーナーへのインタビュー記事、リサーチからの学びや考察記事)を毎日発信中。
・web3に関する情報発信を毎日行うTwitterアカウントはこちら
・mitsuiと購読者で直接話せるSubstackのチャット利用はこちら
・法人向けのweb3サポート(リサーチ・新規事業立案や伴走・マーケ・開発など)の窓口はこちら