【A wallet】芸能プロダクション"アミューズ"が仕掛ける独自ウォレット。IP×エンタメの新しい未来を作るか
「A wallet」は、大手芸能プロダクション「アミューズ」とその子会社「kulture」が手がけるNFTウォレットサービスです。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「A wallet」についてリサーチしました。
«目次»
1、A wallet とは?
- 実際に作ってみた
- アミューズ子会社「Kulture」
- 今後の展開
- web3時代のプロダクションの在り方
2、乱立するウォレットサービス、どこが勝つ?
A wallet とは?
「A wallet」は、大手芸能プロダクション「アミューズ」とその子会社「Kulture」が手がけるNFTウォレットサービスです。アミューズが運営する各種サービスで利用可能な「A!-ID(エーアイディー)」と連携することで簡単に作成でき、秘密鍵やシードフレーズの管理も必要ありません。チェーンはPolygonを採用。
A walletリリースを記念しての第一弾NFTとして、12月29日(木)・30日(金)にLINE CUBE SHIBUYAにて計3公演開催されるアミューズ所属の俳優総勢20名以上が出演する本公演「Amuse Presents SUPER HANDSOME LIVE 2022 “ROCK YOU! ROCK ME!!”」の生配信が決定し、「Amuse+会員限定 特典付き視聴チケット」を購入された方のA Walletへ、オリジナル視聴チケットNFTが付与されます。
チケットページより引用。
■実際に作ってみた
A!-IDアカウントから作成し、A walletを作成してみました。A!-IDの作成はメールアドレスとパスワードで簡単に作成でき、A walletはA!-IDでログインするだけで簡単に作成できました。プロフィールはユーザー名とアイコンだけ設定できます。
■アミューズ子会社「Kulture」
実はアミューズは以前からweb3の活用に本気で取り組んでいた。
2022年4月に次世代のエンターテインメント創出を目的とした子会社「Kulture」を設立。
Web3・メタバース等を活用した自社サービス/事業/IP開発の推進が目的で、同時にこれらの領域に特化したファンド「KultureFUND(カルチャーファンド)」も立ち上げる。
設立理由はweb3時代における新しいクリエイターとファンの関係を追求するため。新会社とすることでテクノロジー好きなエンジニアやビジネスマンが参加しやすいような文化形成ができると考えて設立。(社内事業では、すでに会社の文化があり、新しい色を入れるのは難しい)
これまで、自社コミュニティー「Kulture Klub会員証NFT 【Kulture Klub first member exclusive PASS】」の配布や、BABYMETALやPerfume等のアーティストのNFT発行を支援してきた。
第一弾プロジェクトとして親会社アミューズと共同で「A wallet」をリリース。
■今後の展開
現在は、A!-IDで利用可能な「A!SMART(アスマート)」や「LIVESHIP(ライブシップ)」、各種ファンクラブなどの様々なサービスと連携している。
今後は、”社内外問わず”様々なアーティストやプロジェクトのNFT施策を推進すると共に、各種外部サービスや、新たなNFTマーケットプレイスの開発や連携も視野に、国内NO.1の利用者数となるウォレットサービスを目指す。
(引用:https://www.amuse.co.jp/topics/2022/12/nft_a_wallet.html)
■web3時代のプロダクションの在り方
Kulture代表のインタビュー記事から一部引用し要約します。元記事はこちら。
Web2時代のアーティストとファンの関係性は、何かを作る側がアーティスト、それを受け取る側がファンという一面が強かった。
NFTの登場で「こういうことをやりたい」と思う人たちにNFTを発行し、それによって資金が集まってコンテンツが作られていくという流れが出てきている。
資金を出すのは会社ではなく、ファンでありコミュニティでありプロジェクトメンバーでもあるわけで、アーティストとクリエイターとファンが一体となってコンテンツを生み出していける時代が来ると予想している。
こうしたWeb3時代においても、プロダクションやレーベルの役割はあると考えています。
NFTのプロジェクトをアーティスト本人が立ち上げて推進していくというのは、大変。
例えばミュージシャンだったら歌ったり楽曲を制作したりするのが本来の仕事なので、プロジェクト周りをアレンジする役割や、デジタルの力でエンパワーメントするパートナーの立ち位置は確実に求められるはず。
新しいエンターテインメントを創造する際に、テクノロジーの力は必要ですが、「アーティストに寄り添ったテクノロジー視点でのアシストができる人たち」もまた必要であり、それを担いたい。
また同じ記事内で、Kulture(アミューズとしてのweb3)の方針としてこうも語っていました。
全てアミューズの中で囲いたいという気持ちは一切ない。
Web3やメタバースが数年後にもっと主流になったときに、Kultureで主導するプロジェクトに賛同し、他のIPホルダーやコンテンツ企業の方々が「一緒にやりたい」と思ってくれるような、デジタルパートナーという立ち位置を目指したい。
このインタビューはKulture設立時のものでA walletリリース前のものですが、A walletの今後の展開を見ても「アミューズ内のエコシステム強化」ではなく「全てのエンタメやIPに利用されるプラットフォーム」を目指していることがわかります。
これからも注目していきたいです。
乱立するウォレットサービス、どこが勝つ?
昨日の記事でも「既存のweb2の勝者がweb3に参入することでいよいよ競争が始まる」と書きましたが、アミューズの参入はまさにですね。特にエンタメ業界でNFTの活用が本格化します。
ただ、まだまだ一般層のリテラシーは追いついていないので、すぐに普及するまではいかないと思います。実際、アミューズのツイートの引用RT見たり、URLやキーワードでTwitter上で検索してみると「よくわからない」「誰か解説して」の声がチラホラありました。
なので、これからアミューズだけじゃなく、多くの企業でNFTを一般層に浸透させていった時に、エンタメ×NFTの枠は全部A walletで取りたいという狙いなのだと思います。次の時代を10年~20年スパンで見ている感じがありますね。
A walletの他にも、MetaMaskを筆頭に多くのウォレットサービスが生まれていますが、どこが勝つのでしょうか。
ただ、現在はEOAのアカウントが主ですが、今後コントラクトウォレットの普及が進むと一気にゲームが変わるので、それまでの勝者は変わらず勝者で居続けることができるのか?も少し疑問に思ってます。
とはいえ、やっぱり先にユーザー数取っておくこともとても大切で、web2時代の決済を真っ先に握った「PayPal」はやっぱりずっと強いですもんね。あとはログインAPIを握ったGAFAのSNSも強い。ウォレットはログインと決済を担うと思うので、乗り換えコストが比較的高いと感じます。一度利用し始めて、トークンやNFTが溜まってるウォレットを作り替えるのは相当めんどくさいので。
そう考えるとやはり既存の大企業は強く、アミューズのA walletも相当多くのユーザー数を確保するのだろうなと感じてます。
そろそろ技術力や目新しさ勝負ではなく、純粋にビジネスとして成立するか、革命的なUXを提供しているか、という至極真っ当な基準でweb3のサービスが評価され始める時代に来ています。
僕自身もリサーチの観点で「ビジネスとして」を加えながら見ていきたいなと思いました。引き続きリサーチ頑張ります!
引用/参考リンク
A wallet
・HP:https://awallet.jp/
・Kulture Twitter:https://twitter.com/Kulture_info
(※リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。)
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ご覧いただきありがとうございました!
mitsui @web3リサーチャー
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