おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
基本は週1回がリサーチから学んだブログの日なのですが、意外にブログ回の反響が良いので、もう1日書いてみます。(この辺は反響見ながら柔軟にやっていきます)
「政治学者、PTA会長になる」が面白い
最近、この本を読んでます。民主主義を専門とする大学教授がPTA会長に就任する実体験をもとに綴った本です。
正直、めちゃくちゃ面白いです。
言葉の表現難しいんですけど、「PTAの中には、みんなが嫌々やってるのに前年度から引き継がれたからという理由で残っている慣習が多すぎる。それを辞めようとしても”自分たちの代で終わらせていいのか、なんか不安”という強烈な反発がある。合理ではない、自治における人間関係の本質がそこにあった」みたいな本です。
その内容や書き方、ストーリーの展開の仕方も普通に本として面白いのですが、web3リサーチャーとしてweb3リサーチのマガジンで紹介するほど、「DAO運営」に関しての学びが深いと感じました。
経済学の世界では人は合理的な存在である前提でいろんな理論がありますが、そもそも人は合理的じゃないよね、というのが最近の風潮です。行動経済学はまさに不合理な人間を前提にした学問で、近年注目を集めています。
「予想通りに不合理」という本がまさにそういった人間の性質を紹介しています。ビジネスは人を動かす必要があるので、学ぶべきはこういった人間の不合理な本質にあると僕は思います。
ただ、今までの行動経済学は「個人(ミクロ)」における不合理性の紹介に留まっており、「集団(マクロ)」における不合理性はあまり注目されていませんでした。
確かに、C向けのサービスを販売する際には、一対一のセールスの積み重ねなので、個人だけを見ていればよかったです。一人の心を動かす施策を数百万回やればそれだけのユーザー数になります。
でも、DAO運営は違います。DAO運営は集団相手に価値提供をする必要があります。一対一の積み重ねではなく、集団でなければ作れない価値をどのように作っていくのかが求められます。
論理じゃない、合理的じゃない、でもそこに人間の本質がある
PTAの事例を見ていると、嘘だろ、、と思う事例がこれでもかと出てきます。流石にこれ作り話じゃないか!と思う瞬間もあるのですが、自分の実体験の中でも「どう考えても相手にとってもプラスになる提案なのに、全然納得しない」瞬間って多いし、「全く話が通じない相手」も往々にして存在します。
もちろんこちらの伝達力不足もあると思いますが、不思議で仕方なかったです。
あ、ちなみに論理だけで人が動くと思っている僕みたいな人間にもこの本はおすすめです。人は論理じゃ動かないし、集団になればもっと忖度や人の目が気になって謎の非合理な意思決定が下されるものです。ただ、それが人の本質であり、そこを加味した上で提案を投げかけないといけないことが学べます。
DAOの話に戻ります。
僕は、web3はファウンダーが願う世界のあり方をスマートコントラクトに刻み、インセンティブ設計をすることで、一つの自治を行えるようになる技術だと思っています。
つまり、一つ一つのDAOは国家であり、自治体です。ルールがあって、財源があって、投票があって、通貨があって、、、ミニマムだけどそれは確かに自治です。
で、DAOの設立者が考えるべきは、人の合理性と不合理性のどちらもを鑑みたルール設計であり、インセンティブ設計だと僕は感じています。
これをしたらDAOメンバーが喜ぶという合理的なインセンティブを組み込んでも、それが実行されないのが集団としての人間です。自治は不合理なんです。
僕も割と合理的な人間なので、ついつい盤面でルールを設計してしまいますが、これから多くの人がweb3に参入してきて、DAOへ参加する人間が増えれば増えるほど、この辺りの民主主義や社会学を学んだ人の重要性が上がってくると感じています。
コミュニティーよりもっと民主主義に近い学問がDAOな気がしてます。
全体的に少し抽象的な話になってしまいましたが、結論は「政治学者、PTA会長になる」がDAO運営者にとってのバイブルになるのではないかという話でした。集団としての人の不合理性が勉強できます。
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おわり。
mitsui @web3リサーチャー
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