【Loot】8個の英単語を配布し、熱狂を生んだNFTプロジェクト
Lootは、NFTを活用した”RPGゲームのプラットフォーム”です。6秒動画のVIneの創設者であるDom Hofmann氏によりローンチされました。
おはようございます。
web3researcherの三井です。
今日は昨年誕生し熱狂を生んだ「Loot」というNFTプロジェクトについてリサーチしました。
«目次»
1、Lootとは?
2、人気の理由は?
3、NFTプロジェクトは”思想”と”仕組み”の設計で決まる
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Lootとは?
Lootは、NFTを活用した”RPGゲームのプラットフォーム”です。6秒動画のVIneの創設者であるDom Hofmann氏によりローンチされました。
2021年8月に合計8,000個の「かばん」と呼ばれるNFTを8,000人に無料配布しました。
その「かばん」は、英語のテキスト8つだけで構成されており、画像などその他の情報は一切含んでいません。
Dom Hofmann氏のアイディアは、敢えて文字だけをリリースすることで、参加者の興味と想像力を掻き立て、「装備」「キャラクター」「冒険の舞台」など、あらゆる設定を自由にデザインできるプラットフォームを生み出すことでした。
Loot is randomized adventurer gear generated and stored on chain. Stats, images, and other functionality are intentionally omitted for others to interpret. Feel free to use Loot in any way you want.
(戦利品はランダムで生成される冒険者用装備で、チェーンに格納されます。ステータスや画像などの機能は、他の人が解釈できるように意図的に省略されています。Lootの使い道は自由です。)
[公式アナウンスより]
このLootの思想に賛同した人たちが集まり、サービス内のキャラクターや、設定、マップなどを構築していきます。
Lootはトランプとして例えられることがあります。トランプ自体は、ただ52枚の紙に絵が描かれているにすぎませんが、ちょっとした工夫で、トランプはポーカーからスピード、神経衰弱に至るまで、数多くのゲームの基盤にもなります。
最終的にはRPGゲームの世界観でメタバースを実現することが目標とされていおり、現在は装備やマップの開発など、多くのプロジェクトがLootプラットフォーム上で開発されています。
その発想の面白さと期待値も相まって、無料で配布されたにも関わらず、現在フロア価格が1.15ethと非常に人気のプロジェクトとなっています。
https://opensea.io/collection/lootproject
2022年7月現在、まだLootのRPGはリリースされていませんが、HP上のロードマップでは最終局面にいるとアナウンスされているので、サービスリリース後には更に注目を集めるようになるかもしれません。
人気の理由は?
LootはNFT業界に非常に大きなインパクトを与えました。Lootのリリース以降、その思想を真似した「○○ Loot」と呼ばれる、似たプロジェクトが数多くリリースされており、単なる1プロジェクトではなく、ジャンルにまで発展しています。
ここではその人気の理由をいくつかに分けて分析します。
■クリプトの分散思想とマッチした100%分散型のプロジェクトであった
通常のゲーム開発は運営会社がクローズドで開発し、世の中にリリースしたものをユーザーが楽しむ形です。これは完全に中央集権型(web2)のゲーム開発です。
web3の波が到来し、ブロックチェーンを活用したゲームも作られるようになり、その開発にDAOが用いられることも増えました。ただ、このDAOも結局”作られたゲームを触って、意見を言う”程度の共創関係に留まっていたのが現実です。
Lootは8列の英単語のみを配布し、デザインも設定も何も存在しません。全てがコミュニティーに託されていて、どうやって開発するかも自由で、それぞれが何を開発しているのかも公開されています。
完全にオープンソースで、ゲーム開発が完全に分散化された初めてのアプローチだった為、web3に賛同する人々にとって熱狂の対象となりました。
■AGLDでLootの運営に参加できる
Loot自体の運営方針も分散化されています。独自のガバナンストークン「AGLD」を保有する人たちの投票によって方針が決定されます。
当初は8000個の「かばん」NFTを保有している人に、無料(エアドロップ)で配られましたが、現在では大手取引所にも上場しており、購入することが可能です。
■投機性も兼ね備えている
その思想に熱狂したブームが一過性で終わらないようなインセンティブ設計もされていることがLootの大きな特徴です。
そもそも現在では最低でも1.15ethするNFTが無料配布され、ガバナンストークンAGLDも無料で配布されました。AGLDは上場時の価格にして約500万円分のトークンがNFTホルダーに一人ずつ配布されました。
この時点で、NFTホルダーにとっては、プロジェクトの価値を上げることで自身が持つNFTやトークンの価値を更に上げていくインセンティブが働きます。
加えて、Loot内でゲームやアイテムを作成することが、そのゲームが話題となった時にもLoot内ゲームの開発者としてリターンが返ってきます。
このようにLootを全員の手で成功させることが、NFTホルダーにとって合理的なインセンティブであるという点も、熱狂し続ける大きな理由となっています。
NFTプロジェクトは”思想”と”仕組み”の設計で決まる
もちろんLootが今後も成功し続けるかはわかりません。ただ、リリースからたかが1年ほどで凄まじい勢いで進化してきたことは間違いありませんし、新しいプロジェクトの立ち上げ方を提唱し、一定ワークしたことは事実です。
Lootの秀逸なところは「その思想」がきちんと「仕組み」に落とし込まれているところです。
分散型でオープンソースで面白いものを作るんだ!それこそがweb3だろ?NFTだろ?
そういった思想をひしひしと感じます。そして、それが簡易的なNFT然り、コミュニティー主導のDAO然り、仕組みにも一貫して感じます。
この一貫性を持っていると、初期の熱狂で集まった炎が消えることなく燃え続け、ムーブメントを作っていきます。且つ、NFTを活用していることでプロジェクトの成功が全員にとっての経済的にリターンをもたらすので、全員の利害が一致します。
余談ですが、超有名なNFTプロジェクトである「Nouns」にもLoot創業者は関わっており、分散型で綺麗な仕組みのNFTを設計することがとても上手いです。
例えるなら「株式会社」のようなものかもしれません。人類は株式会社の発明によって大きく飛躍しました。株式会社は初期にお金を国に渡して、その後は最低限のルールさえ守ってくれれば、何をやっても自由です。
NFTプロジェクトのコツはこの発想で、才能を持った人間の想像力を掻き立てる舞台や設定を用意することです。
こういった完全に分散化されたNFTはまだ数が少ないのでそれだけ難易度が高いと感じましたが、これからはより増えていくのではないかと感じました。
以上、記事が面白いなと思った方はぜひ「アドレス登録」と「SNSでシェア」をしていただけると嬉しいです。引き続きweb3をリサーチしていきます。
おわり。
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