おはようございます。
web3researcherの三井です。
今日は2022年4月にリリースするや否や大人気となったNFTプロジェクト「Moonbirds」についてリサーチしました。
«目次»
1、Moonbirdsとは?
2、今後の展望は?
3、NFTの高い安いの判断基準はどこにある?
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Moonbirdsとは?
Moonbirdsとは、2022年4月16日にリリースされた10,000点のジェネラティブNFTです。クリプト調のフクロウがモチーフとなっています。
10,000点の内、7,875点がWL当選者に2.5ETHでミントされ、残り2,000点は”PROOF Collective”の会員(別NFTプロジェクトのホルダー)に無料配布、その他125点は今後のコラボレーションの余地を残し、Moonbirdsの運営によって保有されています。
全10,000体がOpensea上で売買されており、2022年8月1日時点で総取引数量は約161,600Ethとなっています。フロア価格も18.5Ethとなっており、非常に高騰しているプロジェクトだとわかります。
https://opensea.io/collection/proof-moonbirds
ここまで話題となった理由をいくつか紹介します。
■運営チームの存在
Moonbirdsは、起業家&投資家であるKevin Rose(ケビン・ローズ)主宰のポッドキャスト『PROOF』の手掛けるNFTです。
『PROOF』で、NFTやDefiに関するニュースなどをポッドキャストで配信しており人気となっていました。そして、MoonbirdsNFTをきっかけとして、NFTを作る事業を開始しました。
元々実績を残した創業者であり、ブロックチェーン関連にも投資を行っており、NFT関連で有名なポッドキャスト運営者であったことから、安心感を持って市場に受け入れられました。
■限定コミュニティーの会員証として機能
Moonbirdsを保有することで、PLOOFが以前から運営していた限定コミュニティー「PROOF Collective」の限定会員になれるという特典も付与されています。
「PROOF Collective」とは、PROOFが手掛ける1,000人のNFTコレクターとアーティストからなる限定コミュニティです。
会員は、PROOF Collective NFTと呼ばれる会員証NFTを持つ人に限られ、メンバーは限定公開のDiscordや、ポッドキャスト、クローズドイベント、PROOF Collectiveメンバー主催のイベントへの早期アクセス権が特典として得られます。
そんな特典の魅力から、現在PROOF Collectiveの会員証NFTはOpenSeaで非常に高値で取引されており、最も安価なもので約77ETHです。
今まで人数制限が存在し、最低価格が約77Ethと非常に高額だったクローズドコミュニティーへの限定会員になれるNFTが「2.5Eth」で販売されたということで、単純にお得だと感じ、購入した人も多くいました。
mint価格が2.5Ethと聞くと、ジェネラティブの初期価格としてはやや高く感じますが、77Ethがついてるコミュニティーへのアクセス権が付与されていると聞くと非常に安く感じますよね。Moonbirdsの成功にはこういった既存の価値への意味づけが非常に大きな意味を持っていたと感じます。
■「ネスティング」という独自技術
ネスト(ネスティング)と呼ばれるMoonbirds独自の仕組みによって、保有するMoonbirdsを公式サイトでステーキングすることができます。
ネストの期間に応じてレベルが上がり、エアドロップや他のMoonbirds NFTの獲得、オフラインイベント参加権やグッズなどの特典が得られると言われています。
正直、まだそこまではっきりとした特典が付与されていたり、公開されているわけではありませんが、この独自の仕組みによって、合計で10,000個あるMoonbirdsNFTのうち、およそ9,600個以上がネスティングによってロックされている状態となっています。
この結果、そのほとんどが二次流通に出回らず、入手困難なNFTとしてさらに価格が高騰しています。
今後の展望は?
そんなMoonbirdsですが、実は他のNFTプロジェクトで用意されているような具体的なロードマップが用意されているわけではありません。
NFT保有者のみが参加できる限定コミュニティーでは今後の方向性が一部シェアされたり、議論が行われているようですが、一般向けに公開されている情報はあまり多くありません。
ただ、その中の一つ、大きな指針としてHP上にも記載されていることは「メタバースへの参入」です。
運営チームである”PROOF Collective”が「Highrise」と呼ばれるデジタルゴーストタウンをコンセプトにしたメタバースの開発が進められているようです。リリース時期も含め、詳細は一切不明ですが、Moonbirdsホルダーには早期アクセス権が付与される予定とのことです。
そして、そのメタバースへの期待値を上げる一つの出来事として、全てエメラルド色で表現されたかなり希少の「#2642 Moonbirds」を、「The Sandbox(サンドボックス)」の運営が2022年5月に350Ethで購入しました。
350Ethなので当時のレートで約1.3億円ほどです。これは他のNFTプロジェクトを合わせてた中でも記録的な金額となりました。
わざわざ人気のメタバースプロジェクトである「The Sandbox」が高額でNFTを購入したことで、Moonbirdsが手掛けるメタバースとコラボが生まれるのではないかという期待感が醸成されています。
そして、メタバースへの参入以外にも他のNFTプロジェクトと同様に、NFTホルダー限定イベントの開催やエアドロップ、ネスティング報酬の追加等は加えられていくと思います。
とはいえ、2022年4月にリリースされたばかりで比較的新しいプロジェクトなので、今後のさらなる発展にも要注目です。
NFTの高い安いの判断基準はどこにある?
Moonbirdsをリサーチして率直に感じたことは、非常に綿密に戦略が練られたNFTプロジェクトであることです。
ネスティングを開発することで二次流通を防ぎ、入手困難なNFTとしてフロア価格の維持、プロジェクト時価総額の向上を行っています。元々やっていたPROOF Collectiveの会員証NFTも限定1,000人のクローズドで行っておりNFT価格が高騰していました。
おそらく元起業家でもあり投資家でもあるので、こういったマーケティング戦略に関しても強みを持っているのだと感じます。
ただ、これらの独自ステーキングシステムや限定感による価格高騰は、正直別のプロジェクトでもあることではあります。
個人的に一番凄いと感じ、ここまで高騰した理由は「すでに認められている別の価値と紐づけたから」です。
具体的に言えば、すでに最低77Ethで取引されていた会員証NFTと紐付けたNFTが2.5Ethで買えるよ!としたことです。
よくNFTは高い?安い?みたいな議論が巻き起こります。最近も暴走東京のNFT価格が高いと一部で話題となりました。
では、人は何を持って高いや安いを判断するのか?
これは「比較」です。
暴走東京は既存の有名NFTプロジェクトの「初期mint価格を比べて高い」と評価されたので話題になったんです。
人は何かと比較してその価格の高いか安いかを判断し、その商品を購入します。例えば、牛丼一杯1,500円と聞くと高いと感じますよね。それは一般で思われている価格と比較しているからです。
NFT業界はまだ新しすぎて、その比較対象があまり存在していません。なので、過去プロジェクトと比較するしかありません。
ただこうなると全く新しい価値を持つNFTでも、既存と大きく異なる価格をつけることは出来なくなりますし、高いNFTだと認識されてしまいます。
実は、Moonbirdsの2.5Ethでのmintはそれなりに高いです。CLONE Xはプレセール0.5ethで、Doodlesは0.123ETH、BAYCも0.08ETHです。これと比較すると2.5Ethはとんでもなく高いですよね。ただ即完して、フロア価格も18Ethと約7倍です。
これは別の会員証NFT(すでに認められている価値)と紐づけたからだと思います。極論、77Ethが2.5Ethで買えるなら激安なので。つまり、消費者が価格を比較する対象を変えさせたんですね。
おそらく、こういった既存の価値を連動させるNFTプロジェクトは今後増えてくると思います。NFTホルダーに野菜送りますとか、カフェ使えますとか、服あげますとか、普通にお買い物としてお得じゃね?と思われるNFTを作ることで、NFTの特性を残しつつ、価値を担保できるようになります。また、価格の比較対象が他のNFTではなく、現実世界のすでに価値が存在するものなので、むやみやたらに高い安いの判断がされなくなります。
「値付け」という意味で、すごく勉強になったプロジェクトでした。
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おわり。
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