【リップルがSECに勝訴】「XRPトークン自体は有価証券に該当しない」という判決は暗号資産業界全体にとって歴史的な判決となる!?
暗号資産プロジェクトの1つとして有名な「リップル」がSEC(米国証券取引委員会)との裁判に勝訴したというニュースが舞い込んできました。まだ一部の判決が出ただけですが、数年間に及ぶ裁判の結果がリップル側の主張が認められた形で出たことで、web3界隈は喜びにわいています。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「リップルがSECに勝訴した」というニュースについてリサーチしました。
«目次»
1、リップルがSECに勝訴!
- そもそもリップルって何?
2、判決内容
- そもそも有価証券とは?
- 裁判の争点
3、世界でもルールメイキングが進む
※複数のソースを元に執筆しますが、リアルタイムで情報が更新される場合がありますので、正確な情報は他のソースも参考の上でご確認ください。またリップルの価格に触れる記載もありますが、勧誘目的は一切なく、投資は自己責任でお願いします。
リップルがSECに勝訴!
暗号資産プロジェクトの1つとして有名な「リップル」がSEC(米国証券取引委員会)との裁判に勝訴したというニュースが舞い込んできました。まだ一部の判決が出ただけですが、数年間に及ぶ裁判の結果がリップル側の主張が認められた形で出たことで、web3界隈は喜びにわいています。
リップルCEOも喜びのコメントを残しています。
また、この発表を受けて24時間で60%以上も価格が高騰しています。
では一体どこが争点になっており、何があったのでしょうか。
■そもそもリップルって何?
裁判の話に行く前に、少しだけリップルという暗号資産についても解説しておきます。
リップルは、Ripple Labsが開発したリアルタイム決済システム、通貨交換、および送金ネットワークを指します。そのネイティブトークンはXRPと呼ばれます。
リップルネットワークの主な目標は、銀行や他の大きな支払いプロトコルが現在使用している古い処理システム(例えば、SWIFT)を置き換え、国際銀行間取引をより迅速かつ効率的に行うことです。
大きな特徴の1つは中央にRipple Labsと呼ばれる企業が存在しており、完全に分散された運営ではありません。コンソーシアムチェーンと呼ばれる制限された企業がマイニングに参加できる参加者が制限されたブロックチェーンです。
すでに世界中の200を超える金融機関と連携しており、高速で手数料の少ない国際送金の実現へ向けて進んでいます。
判決内容
この判決は2020年から3年間も続く裁判であり、その争点を簡単に言えば「リップル(XRP)は有価証券に該当するか否か」です。
SEC側は有価証券に該当すると主張しており、リップル側はリップルはあくまで通貨であり有価証券ではないという主張でした。
この裁判はリップルというプロジェクトにとっても死活問題でしたが、リップルが有価証券認定されると他の暗号資産の多くも同様に有価証券認定される可能性があり、暗号資産業界全体で判決が注目される内容でした。
そして、2023年7月13日、ニューヨーク州南部地区地方裁判所が「XRPトークン自体は有価証券に該当しない」という判決を出しました。
ただ、一部でSEC側の主張が認められた部分もあり「XRPの取引スキームに関しては議論する必要がある」としており、具体的には「リップル社が機関投資家向けに行ったXRPの販売は、証券法第5条に違反する未登録の投資契約のオファー及び販売に該当する」と説明されています。
少し難しいのでもう少し噛み砕いて説明します。
■そもそも有価証券とは?
有価証券とは「財産権を表示する証券」です。簡単に言えば”金銭的な価値を持つ権利”です。
国税庁では有価証券の範囲を以下のように規定しています。
印紙税法に規定する「有価証券」とは、財産的価値のある権利を表彰する証券であって、その権利の移転、行使が証券をもってなされることを要するものをいいます。
(引用:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/09.htm)
有価証券の代表例は「株式」や「債権」です。企業の「株式」を保有していれば配当やEXIT報酬が得られますし、「債権」を保有していれば利子付きで返済が得られます。そして、その”権利”を株式市場や証券市場で売買することが可能です。
企業が有価証券を発行して売買する場合、金融商品取引業の免許が必要です。適当な証券を自由に売買できるようになってしまうと詐欺が横行し消費者(投資家)が多大な損を被る可能性があるので、ここはどの国も国家として規制しています。
なので、将来の金銭的なリターン機能を持つNFTの販売は有価証券に該当するので法律違反となりできません。この辺りはまた別途解説します。
リップルが有価証券に該当すると判決されれば、販売や売買に大きな制限が入ることになり、実質的に暗号資産プロジェクトとして活動停止に追い込まれるほどのインパクトがありました。
■裁判の争点
実際の裁判では「ハウィーテスト」と呼ばれる米国で行われる特定の取引が、投資契約による有価証券取引に該当するかどうかを判定するテストを採用して行われました。
ハウィーテストは具体的には「①資金を集めているか」「②共同事業であるか」「③収益を期待しているか」「④収益が他者の努力によるか」の4項目に照らし合わせて判定するテストで、SECはこの4つの条件をリップルは満たしているため有価証券であると主張していました。
しかし、リップルはリップル社が直接ユーザーに販売しているわけではなく、暗号資産取引所などでセカンダリー市場で売買されています。そういった一般投資家の心理や取引実態を考えると、リップル社が資金を集めているわけでもなく、保有者全員が共同事業者としてリップルのエコシステムを盛り上げるために努力しているわけではないので、XRPトークン自体が有価証券に該当する可能性はないと判断したわけです。
一方で「リップル社が機関投資家向けに行ったXRPの販売は、証券法第5条に違反する未登録の投資契約のオファー及び販売に該当する」としたのは、リップル社が直接機関投資家に販売するパターンは上記のテスト項目に該当する可能性があるので、有価証券であると認識されました。
この一部の否定された事実に対して、これからリップルが上訴していく可能性もありますが、「XRPトークン自体が有価証券に該当する可能性はない」という判決が出たことは事実であるため、リップルの今後の活動が全て制限されることはなくなりました。
世界でもルールメイキングが進む
この判決は暗号資産業界全体としても非常に喜ばしいことです。最近はバイナンスやコインベースがSECから提訴され、アメリカの暗号資産業界は大丈夫か?と心配されていましたが、一つ嬉しいニュースが出てきましたね。
個人的に、SECに勝訴したという事実と判決結果が大切だと考えています。
よく日本は暗号資産に対しての規制が厳しいという意見もありますが、逆を言えば法律の整備が世界に先駆けて進んでいるという見方もできます。例えば、ステーブルコインの規制は日本が世界に先駆けて具体的な法律を整備しています。
確かに海外よりも好き勝手にビジネスをすることはできないかもしれませんが、すでに規制されているということは、後から自社事業の存在意義をなくすような法整備がされる可能性が低いということです。
まさに現在のSECと海外企業の戦いのように、大きくなった後に自社に不利な裁判をされて事業の根幹が脅かされる事態となることを防げます。
このアドバンテージは日本にとっても非常に良いことだと思います。
今回の判決のように、徐々にSECとの裁判も終了していき、世界的なルールメイキングが終了するようになっていくので、早めに整備されたルールのもとで世界的なプラットフォームを作っていきたいですね。
自分もそこに貢献できるように頑張ります!
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参考リンク
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