【Slash Web3 Payment】消費者は好きなトークンで支払い、事業者はステーブルコインで受け取り。どんな事業者でも簡単にクリプト決済を導入できる決済ツール!関連サービスや展望も考察!
「Slash Web3 Payment」は、店舗やECサイトでのクリプト決済を気軽に導入できる決済サービスです。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Slash Web3 Payment」についてリサーチしました。
«目次»
1、Slash Web3 Payment とは?
- 支払いはどんなトークンでも、受け取りはステーブルコインで
- 手数料は0.2~0.6%で、その内の0.1%はユニセフを通じて自動的に寄付
- その他、安心で安全な決済を
- ロードマップ
2、関連プロジェクトの解説
- NFTの中にトークンを格納できる「NFT Vault」
- KYC×SBT、優良顧客×SBTの「Slash.Genesis」
3、展望を勝手に考察!
Slash Web3 Payment とは?
「Slash Web3 Payment」は、店舗やECサイトでのクリプト決済を気軽に導入できる決済サービスです。
事業主は簡単なセットアップで審査なく、10分もかからずにクリプト決済を開始できます。ECサイトへの連携や、実店舗であればQRコードでの決済にも対応しています。
また消費者は、DEXでサポートされているトークンであればどんなトークンでも支払うことが可能です。
既存サービスで言えば、Stripeのクリプト版のようなサービスでしょうか。事業者も消費者も簡単にトークン決済ができるようになるツールです。
直近の12月21日には「シード ラウンドで MZ Web3 Fund と複数の個人投資家から合計 150 万米ドル」の調達を発表するなど、非常に期待されています。
では、より深くその特徴を見ていきます。
■支払いはどんなトークンでも、受け取りはステーブルコインで
Slash Web3 PaymentはあらゆるDEXとスマートコントラクトで接続しエクスチェンジの処理を自動的に完了させる機能を備えた決済サービスです。
よってDEX上に存在するトークンであればどんなトークンでの支払いにも対応することが可能です。消費者が支払いに使ったトークンをDEX上で自動的にスワップし、事業者の元にはステーブルコインで届きます。
この事業者側が”何の通貨で受け取るか”は設定の際に選択することができます。
これは消費者側と事業主側の両方の課題を解決します。
まず消費者側は「指定のトークンにスワップして支払いするのがめんどくさい(or 難しくてできない)」現状があります。トークンで決済する大変さは正にここにあり、ちょっとした手間かもしれませんが、日常的な決済でその手間を許容するのはかなりめんどくさいです。
さらに、事業者側は「いろんなトークンを決済で受け取っても困る(自社でのスワップコストとボラティリティのリスク)」現状があります。特にボラティリティ(値動き)のリスクは強烈で、稼いでいた売上がある日突然半分になると事業として成立しません。別のトークンで決済し自社でステーブルコインにスワップすることもできますが、それをいちいち行うのは手間です。
この消費者側の「どんなトークンでもスワップせずに支払いしたい」と事業者側の「ステーブルコインで管理したい」というどちらもの想いを叶える決済ツールがSlash Web3 Paymentです。
■手数料は0.2~0.6%で、その内の0.1%はユニセフを通じて自動的に寄付
まず事業者側に手数料はかからず、消費者が支払いの際にガス代と共に支払います。
この決済手数料は、独自トークンである「Slash Token(まだリリース前)」と連動して変動する仕組みを導入予定です。また、徴収した手数料は Slash Token のBuy Backに使用されます。Slash Token のリリースまでは、0.6%で固定です。
また、その手数料の中の0.1%は自動的に寄付される仕組みです。ゆくゆくはSlash Tokenホルダーによる投票で寄付先を決定できるような仕組みも導入予定です。
■その他、安心で安全な決済を
Slash Web3 Paymentでは、どの事業者も消費者も安心で安全なクリプト決済ができるようにその他にもいくつか特徴があります。
○簡単で間違うことのないトークン決済フローの提供
今までのクリプト決済は消費者(支払う側)が相手のウォレットアドレスを入力し送金するやり方でした。これはウォレットアドレスの入力ミスや金額のミスを引き起こします。Slash Web3 Paymentは事業者が提示するリンクやQRコードを読み取って支払いをする形なので送金先を間違える心配はありません。
○スマートコントラクトのよる確実な決済管理
人為的なミスによるトークンの紛失の可能性が限りなく0%にするために、Slash Web3 Paymentのコアコントラクトは決済が100%完了する保証が無い場合はトランザクションを実行しません。この為、消費者が支払ったトークンがどこかに消えたり、誤決済が起こることを限りなく0%に近づけます。
■ロードマップ
今後はまず「主要チェーンへの対応」と「ECプラットフォームへの対応」へ注力すると書かれていました。フェーズ1は、決済ツールとして、どこでも誰でもどんなトークンでも決済できることが目標のようです。そして続くフェーズ2ではいよいよ独自トークンを発行し、分散化のサービスへと向かっていくようです。
また、上記はSlash Web3 Paymentのロードマップですが、「Slash Project」全体では関連プロダクトのリリース、独自のNFTプロジェクトの発表等もロードマップに存在していました。
関連プロジェクトの解説
では、関連プロジェクトについても発表されている情報を抽出し、紹介します。
■NFTの中にトークンを格納できる「NFT Vault」
こちら昨日のツイートでも書いた通り、NFTのユースケースを大きく広げる存在となりそうです。
■KYC×SBT、優良顧客×SBTの「Slash.Genesis」
詳細は未発表ですが、SBTを活用したKYCソリューションと優良顧客(ロイヤルカスタマー)向けのサービスを開発しているみたいです。
「”KYC(本人認証)”をしたユーザーにKYC済み証明のSBTを付与」するサービスと、「Slash Web3 Paymentで顧客の決済履歴を取得し、XX円以上 or △△回以上の購入をしてくれた消費者を特定し、自動でSBTを付与、そのSBT認証で入れる特別なECサイトを構築できる」サービスなのではないかと予想します。
個人的にとても面白いと感じたプロジェクトでした。
最後に、公開されている情報から勝手に展望を考察してみます。(Slashの方と一度もお話ししたことなく、何も関わりがないので趣味での考察です。なので確証や根拠はありません!一意見としてお楽しみください。)
展望を勝手に考察!
最終的に目指すこちらのエコシステムの図と、それぞれのプロダクトの説明から考察してみます。
この図を見てまず「採用予定の”VeNomics”って何ですか?」という疑問にぶち当たったので調べました。
(認識合ってるかわかりませんが)端的に言えば「トークンをタイムロックして徐々に放出し、タイムロックされたトークン(veTKN)ホルダーに投票権を付与する。さらに、そのタイムロックしているトークンの多さに比例し、投票の重みと報酬が比例する仕組み」です。(全然端的じゃない!)
トークンをタイムロックして徐々に放出することは現在でも主流ですが、この仕組みの画期的な点は「タイムロックしているホルダーに投票権の付与」を行う点と「タイムロックしているトークンが多ければ多いほど報酬と投票の重みが大きい」点にあります。
当たり前ですがタイムロックしたトークンは売却できません。つまり、短期売買の目的ではないタイムロックしたユーザーに投票権を付与することで長期目線でのトークンの運営にコミットできるわけです。加えて、タイムロックする額が多ければ多いほど投票権に重みを持たせることで、より長期目線での運営にコミットすることができます。
なんのトークンでも良いから短期売買で稼ぐ人ではなく、トークンのビジョンや将来性に期待して、長期で一緒に安定した運用を目指せる人を選別し、その人たちとDAO運営ができるという目的で出来た仕組みですね。
(より勉強したい方への参照記事はこちら)
前置きの解説が長くなりました。つまりSlashは独自トークンの発行も長期目線で運営していける人たちとやっていき、そういうエコシステムを築く一つのDeFiプロジェクトということです。
で、ここからは更なる勝手な考察です。
■トークンはNFTに紐づいてリリースされる!?
おそらく独自トークンは自社サービス「NFT Vault」を活用し、独自NFTプロジェクトに「Slash Token」が格納される形で出るのではないかと予想します。
まあこれは上の図でもNFTにトークンがタイムロックされていることが説明されているので、予測つきます。
そして、実は僕がSlashのことをより深く調べるきっかけにもなったツイートがこちらで、ファウンダーのSHINさんがNFTプロジェクトのあり方について言及したものです。
このツイートのツリーの中で、NFTプロジェクトって最初に売上立ててその資金用途の透明性もないし、運営側だけが儲けることができる構造になってるよね。これをNFT Valult活用して、NFTの売上をトークン化してタイムロック、数年間かけて徐々にホルダーに還元する形にすれば良いんじゃないか?と言及されていました。
なのでおそらく、そのモデルケースを作るべく、独自トークンは独自NFTにタイムロックされる形でリリースされるのではないかと思ってます。
■「Slash.Genesis」と「NFT Vault」によってKYCのSBTが財布になる!?
あと、個人的に最も興奮した展望は「KYC×SBT」の展望を考えていた際に思い付きました。
最初は、決済ツールを提供しているのでKYCツールは自社で作るか、くらいで考えていましたが、SBTにする理由は何だろうな?と考えていた時にふと他のサービスとの紐付きが頭をよぎりました。
決済ツール、KYC認証、ロイヤリティSBT、NFTにトークンの紐付け、これらを繋げると、こんなエコシステムが出来上がります。
KYC完了の証明としてSBTを配布。
そのSBTにNFT Vaultによってトークンを紐づけることができる。
Slash Web3 Payment導入店舗やサイトで、そのSBTでの決済が可能となる。
SBTでの決済履歴を自動取得、店側が設定した条件(XX円以上 or △△回以上の購入等)を超えた消費者に自動で優良顧客SBTを付与。
優良顧客SBTの認証で入れる特別なECサイトやメニューを構築。
おお、すごい!!
マイナンバーカードにSuica機能がついてその決済履歴を元に自動でポイントが貯まっていき自動でランクが上がっていき受けられる特典が変わる、みたいな仕組みです。
このエコシステムの肝は「事業者側のメリットを最大化して寄り添っている」ことにあると思ってます。決済の簡易さもですが、優良顧客の管理を完全に自動化し、NFTやFTを活用したトークングラフマーケティングを自動化できるんです。自社でポイントカードのシステムを作る必要も、ポイントの管理も、自社トークンやNFTの発行やユーティリティの用意もしなくて良い。
Slash Web3 Paymentの導入とSlash Genesisの優良顧客むけのメニューだけ用意しておけばいい。そして、決済ツールは事業者側の手数料は0%です。
消費者はもちろんですが、結局は事業者側が導入しないとこういうツールは浸透しませんし、社会変革は起こり得ません。
リリースを心待ちにしたいと思います!!
«参考リンク»
・HP:https://slash.fi/
・Twitter:https://twitter.com/SlashWeb3
・WhitePaper:https://slash-fi.gitbook.io/docs/whitepaper/slash-project-white-paper
以上、本日は「Slash Web3 Payment」から始まり、そのプロジェクト全体をリサーチしました。
全てをひっくるめて考えて、Slash Projectが挑戦しようとしているクリプトの決済革命は楽しみだなと思っています!!NFTやトークンが出たらぜひ買いたい。
※最後の考察は勝手に考えているだけですので、根拠は一切ありません!趣味です!
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
■運営者
mitsui @web3リサーチャー
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