【Taproot Wizard】Bitcoinのチェーン上にNFTが誕生!この取り組みがBitcoinコミュニティ内の大きな火種に、、
金融利用だけに限定すべき派とそれ以外もいいじゃん派による争いが生まれています。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Taproot Wizard」についてリサーチしました。
«目次»
1、Taproot Wizard とは?
- Ordinal とは?
- 金融利用 vs 非金融利用
2、歴史の当事者であり続ける”重み”
Taproot Wizard とは?
「Taproot Wizard」は、暗号資産開発者の”Udi Wertheimer”さんがビットコインのチェーン上に作成したNFTです。「Magic internet Jpegs」とも言われ、ビットコイン史上最大の大きさのブロックとなっています。
BTCマイニング会社Luxor Miningの協力の元実現し、2023年1月にローンチされた「Ordinal」というプロトコルを利用して構築されました。
■Ordinal とは?
Ordinalはオンチェーンのビットコイントランザクションにデジタルアイテムを追加する方法です。Bitcoin Coreの元貢献者であるCasey Rodarmor氏が設計しました。
ビットコインにはスマートコントラクトをサポートする機能が限られているため、今まではL2ソリューションやサイドチェーンを活用していました。(CounterpartyやStacksなど)
Ordinalはそういったソリューションとは異なり、NFTなどの資産をビットコインのブロックチェーンに直接保存することを可能にします。また、コンテンツをチェーンに追加することをインスクリプション(Inscription)と呼び、追加したデータはNFTではなく「デジタル・アーティファクト」と表現されます。
■金融利用 vs 非金融利用
つまり「ビットコイン上に初めてNFTが刻まれた!」というわけですが、この取り組み自体が、”ビットコインは金融領域だけで使うべきだ”というビットコイン純粋主義者と”多様なユースケースがあっても良いじゃないか”という派閥の間で激しい議論を巻き起こしています。
この議論は以前から存在していたものであり、今回のOrdinalによって再び巻き起こった形となります。
○金融利用だけにすべきな主な意見
NFTがブロックをさらに混雑させ(データが大きいので)、取引手数料の上昇につながり、これまでの金融取引と競合する可能性がある。
2010 年、ビットコインの発明者であるサトシ・ナカモトは金融以外の理由に「いいえ」と回答した。
2010年頃、ビットコイン愛好家の何人かが、ドメインネームシステム (DNS) をビットコインに組み込むというアイデアを思いつきました。
BitDNS と呼ばれるこのプロジェクトは、サトシによってすぐに反論されました。
「世界中のすべてのプルーフオブワーククォーラムシステムを 1 つのデータセットに積み上げることは、スケーリングしません」とサトシは書いています。
○非金融領域のユースケースもあっても良い派の主な意見
取引手数料に関しては、金融取引であろうと「インスクリプション(NFTのトランザクション)」であろうと、マイナーが最も高い手数料の取引を選ぶだけなので、ビットコインのコアな思想である分散性やインセンティブモデルには反していない。
多様なユースケースがあった方がビットコイン自体の価値が向上し、マイナーにも高い報酬が支払われるようになる。
このように、非常に盛り上がっている議論ですが、今回のビットコインへNFTを刻んだ開発者である”Udi Wertheimer”さんのキャラクターもかなり相まって激しい議論になってる気もします、、。かなり煽る系のツイートが多いですね。
↓真のビットコイナーは、楽しむのが好きな幸せな集団だよ。ハル・フィニーという最初期のビットコインユーザーであり、ビットコインプロトコルの作成者であるサトシ・ナカモトから世界で最初のビットコイン取引を受けた人物も過去にこんなこと言ってるから、僕らに賛同してくれたはずさ。
↓Bitcoin Magazineだけ今回のニュースしてくれないな🤡
煽ってますね、、。
ちなみに、この「Magic Internet Jpegs」という実際にビットコインに刻んだ画像は過去にビットコインネットワーク自体の広告に使われた画像をオマージュして作られています。
こういうオマージュの仕方も「俺らがビットコインの本流だぜ」というように見えて、金融領域だけに活用するべき派の人からすれば煽られている気がするのかもしれません。
まだ議論が始まったばかりなので、引き続き注目していきます!
歴史の当事者であり続ける”重み”
僕自身は金融利用だけにすべきか、非金融利用もいいのか、どちらかを意見として持てるほどビットコインの歴史に詳しくないし、共に成長してきてないので、今は特に意見はありません。この機会に過去からの議論の変遷も勉強したいなとは思いました。
ただ、こういう多くの議論を経ることで今のビットコインが誕生しているのだろうなと感じて、なんだか歴史の中を生きている感覚になり少し嬉しかったです。
例えば、上でも書いた2010年頃のBitDNSの構想が出た時にもコミュニティ内で議論が巻き起こったはずです。それを僕はすでに起こったこととして勉強しましたが、今のビットコインへNFT刻むのどうなの?議論に関してはいま起きていることとして勉強しています。
すごく肌感覚でまだ言語化しきれていませんが、僕はweb3領域でプロダクトを作るのであれば、こういったブロックチェーンが積み重ねてきた歴史を自分で体験してきた重みが重要なのではないかと思っています。
過去は”知識”や”事実”として勉強でき、その行為は非常に重要なのですが、”知識”になる頃には”結果”だけが残りプロセス”が抜け落ちてしまうことも多々あります。ですが、実はこのプロセスにこそ学びが詰まっていて、ブロックチェーンのできることやできないこと、コミュニティの葛藤がより理解できます。
ここら辺のプロセスをリアルタイムで積み重ねてきた人の方が、よりブロックチェーンの特性を活かし、コミュニティに刺さるプロダクトを構築できます。
もちろん、後発で参入した人が勝てないと言ってるわけではありませんが、どのタイミングから参入した場合でも、歴史の当事者になり続けること、その長さが重みとなり、良いプロダクトを作れるようになっていくのではないかと思っています。
やっぱり5年以上前からブロックチェーンに触っている人と話すと、知識量もですが、なんか体感として理解しているブロックチェーンに対しての解像度に大きく差があるような感覚があります。その正体がどこにあるのかわからなかったのですが、今日リサーチをしていて、きっといろんな出来事を当事者として積み重ねてきた数なんだろうなと腹落ちしました。
僕自身も重みが増すように積み重ねていきます。
«参考記事»
・Twitter:https://twitter.com/TaprootWizards
・史上最大4MBのビットコインNFTがミント、コミュニティは賛否両論
・Giant Bitcoin 'Taproot Wizard' NFT Minted in Collaboration With Luxor Mining Pool
・‘Bitcoin NFTs’ Aren’t New, But Blockchain Purists Are Now on the Defensive
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
■運営者
mitsui @web3リサーチャー
web3に関する情報(プロジェクト・ニュース・単語の解説、プロジェクトオーナーへのインタビュー記事、リサーチからの学びや考察記事)を毎日発信中。
・mitsuiと購読者で直接話せるSubstackのチャット利用はこちら
・法人向けのweb3サポート(リサーチ・新規事業立案や伴走・マーケ・開発など)の窓口はこちら
↓web3参入を検討する企業へ向けた無料オンラインウェビナーを開催します。参加申し込み、詳細はこちら!