【Web5】web3はもう古い!?ジャックドーシーが提唱するWeb5とは?
「Web5」とは、「自分のデータや ID を管理できる非中央集権的な Web プラットフォームを目指す取り組み」のことを指します。
おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「Web5」についてリサーチしました。
«目次»
1、Web5とは?
- Web5発表への経緯
- Web5の定義
- Web5の構成要素
- その他、補足
2、思想は実現されるのか
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Web5とは?
「Web5」とは、「自分のデータや ID を管理できる非中央集権的な Web プラットフォームを目指す取り組み」のことを指します。
Twitter創業者であるジャック・ドーシーがCEO を務めるモバイル決済企業「Block」の子会社、TBD が発表した概念です。
要するに”真の分散型プラットフォームを作るぜ!”という取り組みですが、「これはweb3じゃないの?」という疑問が浮かびますよね。
この疑問への回答こそがジャック・ドーシーによるweb3への課題感とWeb5の構想の理解に繋がります。
■Web5発表への経緯
ジャック・ドーシーは元々ビットコインの熱烈な信者。自身も大量に保有しているし、仮想通貨への言及も度々していた。
NFT黎明期に自身のツイートを約3億円で販売することもしていた。
「web2 + web3 = Web5」と定義しているので、既存のweb3に対して強烈な課題感を感じていた。
それを示すツイートが下記。翻訳すると「あなたはweb3を所有していません。所有しているのはVCとそのLPです。彼らのインセンティブから逃れることは決してありません。最終的には、別のラベルを持つ中央集権型のエンティティです。 あなたが何を得ているのかを知ってください、、。」
要するに「web3は分散化だとか言ってるけど、結局一部の投資家が儲けているだけじゃないか!これはweb2から名称が変わっただけで、中央集権の構造は変わってない」と言ってるわけですね。
こういった背景からジャック・ドーシーはweb3を批判し、2022年の6月に「Web5」の構想を発表しました。
this will likely be our most important contribution to the internet. proud of the team. #web5 (RIP web3 VCs 🤫) developer.tbd.website/projects/web5/Web5: An extra decentralized web platform https://t.co/LDW3MZ8tONTBD @TBD54566975その時に発表されたWeb5の概要資料がこちらです。
そこから開発が進んでいるWeb5ですが、2022年11月30日に、誤った意味でWeb5と使って欲しくないとの思いで、より詳細な定義が発表されました。
以上が大まかな経緯です。では、もう少しWeb5の内容についても解説していきます。
■Web5の定義
Web5は「分散型のウェブプラットフォーム(DWP)」に事を指し、分散型IDと分散型ノードを活用した分散型ウェブアプリを作成できる場所です。これによって、個人データの所有権が自分の手に戻ってきます。
まだ開発途中なので発表されている情報からの推察になりますが、おそらくジャック・ドーシーによるWeb5は分散型のAppStoreのようなものではないかと思っています。web3は大きなムーブメント自体を指し、特定のサービスの事を示しません。一方で、Web5はweb3へのアンチテーゼとなる概念でもありつつ、特定のサービスやプラットフォームを構築しようとしているのだと思います。
もちろんそこを独占するつもりはなく、インフラを作り、そのWeb5プラットフォーム上であれば、分散型アプリを誰でも簡単に作れるようになります。
■Web5の構成要素
Web5は3つの柱で成り立ちます。
Decentralized Identifires(分散型ID/DID)
web3でも提唱されているDID。サービス利用時にプラットフォーマーが保存するデータにログインして利用するのではなく、個人が保有するウォレットに全てのデータが入っており、必要に応じて許可を出し、サービスを利用するようになる。また、個人の与信判断等もウォレットコネクトだけで出来るようになる。Verifiable Credentials(証明書/VC)
日本語にすると「内容の検証可能な証明書」です。Web5 では、ブロックチェーンを活用して、デジタルでも各種証明書を信頼できる形で発行・保存・提出できるようになる。Decentralized Web Node(分散型ノード/DWN)
アプリケーション参加者がP2Pネットワークによって繋がれたプロセスを稼働させることで、ユーザー自身についての情報はアプリケーションごとに許可を与えることで読み取り・書き込みをさせ、アプリケーション固有の情報についてはユーザーが読み取り・書き込みの権限を取得するという形で互いに情報を更新し合う。
より詳細の説明やその他の単語の解説は公式が出している概要資料をご覧ください!
■その他、補足
web3の分散化がされていない原因の一つに「トークンが多すぎる」と主張し、Web5はビットコインのL2ネットワーク「ION」にて開発される。ビットコイン基盤であれば、いくらお金を持った投資家であっても関与できない。
11月30日の「Web5の定義」の発表と共に「Web5」という言葉の悪用を防ぐために商標登録を行う方針であることも同時に発表したが、コミュニティからの反発が多かったため、その後、商標登録を中止することを明らかにした。
思想は実現されるのか
ここからはリサーチした感想を書きます。
元々、web3も分散化が根本思想であり、DIDは軸となる考え方でした。もちろん、まだweb3は発展途上であり、ジャックドーシーの批判はお門違いだと主張する人もいるでしょう。今後の技術革新と社会の成熟によって、web3の延長線上にDIDの社会実装、分散型の社会の実現があるのかも知れません。
僕はweb3でもWeb5でもどちらでも良いですが、そうなることを願ってますし、そこの思想が好きでweb3リサーチャーになった人間でもあります。
ただ「理想的な思想」と「人間の思惑やインセンティブ」が相入れないことで結局別の場所に着地してしまう可能性は否定できません。
やっぱり株式会社という仕組みは強いです。上場や売却では株主に富が集中しますが、それがあるからこそ、世の中の天才たちがハードワークしてイノベーションを起こし続けます。そして、その成功して得た富が次世代に回っていきます。
これがDAO化させることがゴールとなった時、成功後に得られる富が一桁も二桁も減るかも知れません。
今のweb3がここまでのスピードで成長しているのは世界中の天才たちが集結しているからです。そして、天才が集まるのは「単純に面白いから」も多分にあると思いますが、「お金が集まる(儲かる)から」も絶対に存在します。お金がないとチームも組めないし、開発も進められません。
表現が適切かわかりませんが「分散化を志向するweb3に世界中のお金が集まっている状況」が結果的に生まれてしまっています。
技術革新の最中は先行投資で集まるものなのかも知れません。でも、投資家はボランティアでお金を入れることはありません。将来的にリターンが返ってくると思っているから資金を入れてるわけです。
そう考えると、ジャック・ドーシーの批判はあながち間違っていないようにも感じます。ただ一方で、これは今の世の中の仕組み上、そして人間の性質上(インセンティブがあるものにコミットする)、どうしても生まれてしまう現象なのかも知れません。
元々はWeb1.0も分散化を志向していたけれど、いつの間にかWeb2.0のような中央集権のプラットフォームが生まれてしまった。だからこそもう一度Web1.0の思想を取り戻そう!と叫ばれ、web3が注目されているわけですが、ある種、人間がイノベーションを生むために頑張り続けた結果、Web2.0の世界になったと思うんですよね。
誰も悪いことしようと思ってないし、最初から独占してやろうとも考えてないと思います。株式会社のルールに乗っ取り、株主の利益を最大化するために、売上と利益を最大化するために、自社を成長させ続けるために、頑張った結果、いつの間にか独占する戦略に行き着き、Web2.0の世界ができたはずです。
つらつらと書いてきましたが、何が言いたいかというと、「掲げられている理想」そして「理想が可能になる技術革新」と「それが社会に実装される」ことは全く別の話ということです。
なぜならそれを実装するのは人間だからです。
掲げられた理想は人の本質やインセンティブによって変化し、社会に実装されます。なので、真の意味での分散型社会を社会実装するためには、そっちにしたほうが全員にとって(もっと表現をエグくするとイノベーションを起こす天才たちにとって)圧倒的に得な状況を作るしかないですよね。
極論、すげーDAOやDapps作ったら国から(もしくはそういう目的のDAOから)、100億貰えるとかになったら、分散型の社会に近づく気はしてます。上場に代わる金銭的なリターンがあればいいのかも知れません。(もしかしたら、DAO化するときに株の代わりに貰うトークンがそこまでになるのかも知れませんが、如何せん株式会社から完全にDAO化した事例が全然なく、どれくらいの金銭的なリターンになるのかわかっていません。上場ほどのリターンになるのなら、それでもいいかも知れません!)
Web5の発表は、Web5自体の内容どうこうよりも、web3に携わる人たちにとって、今のweb3は適切なのか、そしてこのまま進んでweb3は大丈夫なのか、を考えさせてくれる良い機会になると思いました。
僕自身もweb3に携わる一人のプレイヤーとして、自分が思い描く思想を実現できるように頑張っていきたいと思いました!!
Web5
・HP:https://www.tbd.website/
・Twitter:https://twitter.com/TBD54566975
(※リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。)
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ご覧いただきありがとうございました!
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